<スタッフ紹介>

        北川学芸員とその助手

    

 

  

 

 

時代衣装の構成と使われた技術についてわかりやすくご説明します。素人撮影のため見辛い箇所があるかもしれませんが、なにとぞご容赦ください。

ご質問・ご要望はまで。

 

 

インターネットミニ染織講座

衣装復元制作・江戸時代初期2号(糊置)

8.糊置

糊置の作業です。糊置とは友禅染の工程のひとつで、生地に防染糊を固着させることで、染色したときに外部へ染料が滲み出るのを防ぐために行います。この作業を行って下さるのは伝統工芸士の二保 明さんです。
糊置を行うには、まず防染糊を作ることから始まります。防染糊は「糸目糊」と言い、糸目糊には米粉を使う糊と、ゴムを使う糊があります。前者は餅米粉・寒梅粉と糠を水で練り、更に蘇芳の煎汁少量を加えて蒸し、餅状にしたものを必要に応じて水で伸ばしながら使用していきます。原料の配分や粘度などは職人によって配合が異なり、二保さんは年に数回沢山作って冷凍庫で保存し、必要に応じて湯煎し、水を適量加えて糊状にして使用しています。原料は全て食べられるもので作られているため、冷凍庫で保存しないと腐ってしまうのだそうです。
米糊は水で落ちるため、古くは鴨川や桂川で生地を洗い、糊を落としていました。これが京の風物詩であった「友禅流し」と呼ばれるものです。自然の材料で作られた米糊は生地の風合いが良く、柄がやわらかく仕上がるのが特徴です。

     

 冷凍庫から取出した作り置き糊   湯煎で溶かし更に水で調整

 

一方ゴム糸目糊ですが、現代の糊置の約9割がこの糊を使っており、古くは輪ゴムをちぎって溶かして作られていました。今では市販の糊が主に使われており、糊の除去には薬品を使って除去します。ゴム糊を使った柄はシャープに仕上がるのが特徴です。

 

   ゴム糸目糊。こちらが主流


では糊置の作業です。糊置には下絵の線の上に置く「糸目糊置」と模様の部分を覆う「伏せ糊置」があります。今日は団扇の柄を防染する「伏せ糊置」の作業を見学します。

 

  下絵の線の上に置く糸目糊置   模様の部分を覆う伏せ糊置



まず生地がたるまないよう伸子を張り、平面を保つよう生地をしっかり伸ばして準備します。次に柿渋を塗った紙筒に、先が細い矢金をつけ、筒に半分程度糊を入れます。筒を搾りながら柄の染めない部分に糊を置いていきます。

 

     団扇の柄を防染     伸子などで生地を張る
 糊を適度に伸ばし、紙筒に入れる  紙筒を搾りながら糊を置いていく
 糊を調整しながら丁寧に仕上げる    糊が乾くまで平面を保つ

 

 

動画でみてみましょう。

 

 



餅米で作られた糸目糊の欠点は、食べられる原料で作られているため、虫やネズミの食害に注意しなければならないことです。正絹の生地も天然繊維。生地もとろも被害に遭ってはたまりません。作業は手早く、しかし慎重丁寧に行わなければならないため、職人さんのプレッシャーは大変なものだと思いますが、米糊で行われる糊置は、自然にも生き物にもやさしい、サスティナブルな作業とも言えるのかもしれません。
ちなみに二保さんが作業された団扇の防染は、防染箇所が匹田絞りのように見える「匹田染」(染匹田)という柄になります。防染は色を止めたり白地で模様を表したりと、奥が深い作業だと感じました。
 
   作業効率のよい糊置作業台

この日の工程は、

→糸目糊を作る
→生地を伸子などで張る
→紙筒に糊を入れ搾りながら糊を置いていく
→乾燥
→完了


次は手描友禅の作業です。

 

 

 

 

 

 
 
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