<スタッフ紹介>

        北川学芸員とその助手

    

 

  

 

 

時代衣装の構成と使われた技術についてわかりやすくご説明します。素人撮影のため見辛い箇所があるかもしれませんが、なにとぞご容赦ください。

ご質問・ご要望はまで。

 

 

インターネットミニ染織講座

衣装復元制作・江戸時代初期6号(製織)

5.製織

 製織の工程です。撚糸、整経に引き続き川八工場さんにお世話になります。

 今回は整経した糸を新しい経糸として機にセットする「経て継ぎ」を行い、杼(シャトル)の準備の後、生地を織っていきます。

 

経糸をセットした織機

 まずは経て継ぎの工程です。経て継ぎとは、新たな経糸と既存の経糸を繋ぐことにより、新たに綜絖(そうこう)に糸を通す等の工程を省くことができる作業です。1本1本の糸を繋いでいくため時間はかかりますが、その後の作業の手間を省き、効率が上がります。

 川八工場さんでは、この経て継ぎ作業を機械で行っていますが、手作業で行うのが一般的で、糸数の多いものや、2本の糸を1本の糸に繋ぐなど、既存の糸と調整を要するものは1〜2日かけて作業することもあるそうです。経て継ぎ職人は主に高齢の方々が賃仕事で担っておられますが、その数も年々減少していっているそうです。

  

既存の糸に継ぐ 経継機

 次に、筬入れの作業です。筬入れは、筬(おさ)に通す糸の本数で生地の密度や生地の幅を調整します。綜絖に通された糸を、製作する織物に合わせて、筬に通していきます。筬入れは、二人一組で作業を行います。

二人一組で筬に糸を通す 幅を整える役割をしている

 

 綜絖は、緯糸を通すために経糸を上下に動かす役割、筬は織幅の整えに使われる他に織りの際に緯糸を経糸に打ち込み、織目を詰めるときにも使われています。

 緯糸の準備です。まず杼(シャトル)に緯糸をセットするために糸巻き棒に緯糸を巻いていきます。杼(シャトル)とは、経糸の間に緯糸を通すために使われる道具です。緯糸を巻いた、糸巻き棒を杼(シャトル)に取り付け、側面の糸口から糸を出し、準備ができました。

杼(シャトル) 織機にセットする

 

 準備ができたら、いよいよ織りの工程です。糸口から手で糸を引き出し、もう片方の手で杼(シャトル)をセットして織機を動かします。綜絖の動きに合わせ杼(シャトル)が左右に走って糸を通すことで、少しずつ生地が織られていきます。杼(シャトル)に取り付けた緯糸が無くなると織機が止まるため、そのたびに緯糸を入れ替えて再び動かす、という作業を生地が織り上がるまで繰り返します。

杼(シャトル)が走り緯糸を通す

 

 動画で見てみましょう。

 

 

完成

 糸からこうして生地になるまで、作業に集中力が必要な綿密な準備工程が数多くあり、織物を作ることの大変さを伺い知ることができました。糸の入れ替えや、筬に糸を通す等の機械化出来ない作業は人の手によって行われるため、完全な自動化は難しく、また作業が出来る職人もどんどん減ってきています。

 他にも原料代や加工代の高騰、職人の高齢化や後継者不足といった要因から、近年機屋は減少傾向が続いており、そして機屋の減少や、和装需要の低迷から、織物の出荷数が減ることで、精練加工場の稼働に影響し、加工代の上昇や稼働日の調整などの悪循環も起きています。こうした伝統産業を今後も守っていくためにはどうすればよいのかを考える1日となりました。


この日の工程は、

→経て継ぎを行う
→二人一組で筬入れを行い、幅を整える
→糸巻き棒に緯糸を巻き、杼(シャトル)に取り付ける
→杼(シャトル)を織機にセットする
→織機を動かして生地を織る


次は友禅下絵の作業です。

 

 

 

 

 

 
 
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