コラム
染織祭の物語
■第17回 染織祭の背景
2.室町問屋の思惑Aちりめんについて
さて、前回は高級呉服地のちりめんが大衆にも求めやすい価格になって需要を呼ぶだろうという丸紅京都支店長の予想を紹介しました。ここでちりめんについて、少しお話しましょう。ちりめんは、江戸時代、17世紀末頃に登場する友禅染という染色技法に合う生地として発展しました。生地の表面にあるシボと呼ばれる凹凸が色に深みを与えました。
このシボがちりめん地の特徴で、ヨコ糸を強く撚ってできます(現在では平均1mで約3000〜4000回)。ちなみにタテ糸は通常はほとんど撚りません。織物なので製織が重要と思われがちですが、タテ糸とヨコ糸を交互に入れる一般的な平織です。
ちりめんが出来上がるまでには多くの工程が必要で、特に「撚糸」と「精練」が重要です(下の画像参照)。生糸は2つのタンパク質、フェブロインとその外側を覆うセリシンで構成され、セリシンを取り除くとシボと光沢が登場し、柔らかいちりめんの風合いが生まれます。
ちりめんは日本の呉服を支え、今日でも振袖、留袖、喪服、色無地、小紋などで広く使われ、皆さんの身の回りでおなじみのよく見かける生地です。
現在の丹後ちりめんの製造工程 | |
『加悦町史 資料編U』与謝野町教育委員会 付録「丹後縮緬の製造工程」より画像抜粋 |
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