インターネットミニ染織講座
衣装復元制作プロジェクト(江戸時代初期2号)
■白縮緬地竹垣団扇文様振袖(江戸時代初期2号)
江戸時代初期2号「白縮緬地竹垣団扇文様振袖」は、寛永期以前より7月7日の七夕に京都で行われていた小町踊りの衣装として制作されました。この衣装は元禄期の小袖の特徴である大胆な構図を黒染の竹垣にとり、団扇模様には細かな墨画や刺繍が施されています。生地の経年劣化により裂けや破れが生じており、展覧会等の衣装貸付では、平置きに限定して展示を行っています。 |
衣装の状況
衣装実物は、生地の劣化により、ところどころに破れが生じています。補修を行っても美観を損ねるだけでなく、更に新たな裂けに繋がる恐れがあります。
生地劣化による裂け | 所々スレて裂け始めている |
1.生地の復元
この衣装に使われている生地は縮緬で、現代においてもきもの生地の主流になっています。縮緬は表面に細かいシボがある平織物で、撚りのない経糸に強い撚りをかけた緯糸をあわせて織り、精練によって糸が縮むことでシボが現れます。1mあたり約3,000回糸に撚りをかける作業は、古くは八丁撚糸機により行われてきました。江戸時代に確立した縮緬の技術は、現在も京都府丹後地方(丹後ちりめん)や滋賀県長浜地方(長浜ちりめん)で受け継がれています。今回は京都府京丹後市にある京都府機械・金属振興センター技術支援課 井澤一郎主任研究員の協力を得て、実物に使われている生地を分析し、生地の詳細を調査して頂いたところ、一越縮緬の組織に近いことがわかりました。
2.織元を探す
一越縮緬は現在でも制作されており、今回は川八工場(京丹後市弥栄町)さんが引き受けて下さることになりました。
衣装生地の復元制作がスタートします。
次は撚糸の工程です。