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インターネットミニ染織講座

衣装復元制作プロジェクト(室町時代5号)

 

■紅練緯地雪輪松花綱段替文様小袖(室町時代5号)

室町時代5号「紅練緯地雪輪松花綱段替文様小袖」は、当時流行した歌合のひとつである職人歌合の絵巻物や、現存する小袖裂を参考に制作されました。この衣装には、中世の小袖生地の主流であった練緯(ねりぬき)を用い、主に縫い締め絞りと描画で模様をつくる辻が花という技法が使われています。衣装は生地の経年劣化により裂けや破れが生じており、展覧会等の衣装貸付では、平置きに限定して展示を行っています。
今回は従来の復元作業にとどまらず京都府機械・金属振興センター(京都府京丹後市)の協力を得て、技術継承が途絶えた織物・練緯の復元から取り組みます。

 

 

 

 

衣装の状況           

衣装実物は、生地の劣化により、ところどころに破れが生じています。補修を行っても美観を損ねるだけでなく、更に新たな裂けに繋がる恐れがあります。


生地劣化による裂け 全体に裂けが広がっている
 

 

1.練緯生地の復元に向けて

この衣装に使われている生地は練緯(ねりぬき、練貫とも書く)といい、経糸に生糸、緯糸に練糸を用いた平織物です。近世では小袖の基布として用いられていましたが、綸子、縮緬の登場により江戸時代には殆ど用いられることはなくなりました。この衣装が制作された昭和初期には練緯を織る技術はまだ継承されていたことがわかりますが、現代では制作されていないため、継承されていません。今回は丹後ちりめんの産地で知られる京都府京丹後市にある京都府機械・金属振興センター技術支援課 井澤一郎主任研究員の協力を得て、実物に使われている生地の分析からはじめました。


 ◎経糸
 経糸の太さ:生糸16デニール×2本(平:無撚)
 ※16デニール(市場では「14中」)に糸は入手困難。

 ◎緯糸
 緯糸の太さ:先練糸68デニール×2本(平:無撚)

 

2.織元を探す

実物の練緯生地は糸が非常に細く、市場に出回っていない可能性が高いことから、市場に出回っている糸をベースに考えて織組織の構成を調整することと、練緯を織って下さる織元を探すことを並行して始めました。
そして織元金重(京丹後市網野町) 田茂井康博さんが引き受けて下さり、なんと14中の糸を入手して下さいました。
いよいよ練緯の復元が始まります。

 

次は整経の工程です。 


 
 
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