インターネットミニ染織講座
衣装復元制作・桃山時代6号(絞括)
5.絞括
糸入れの作業を終え、絞括の作業です。鹿の子絞りは絞染の一種ですが、絞りの粒が小鹿の背のまだら模様に似ていることから、この名前がついたと言われています。京都で絞括される鹿の子絞りは「京鹿の子絞」と呼ばれ、道具を使わず両手の指だけを使って行われることが特徴です。作業を行っていただくのは伝統工芸士の川本和代さん。この仕事は道具を使わず家で出来るため、女性達によって行われることが多かったそうです。
青花で印をつけた粒を絞っていきます。
粒を括る糸は、撚りのかかっていない絹糸を22本合わせたものを使います。この糸は昔は専門業者が居たものの、廃業したため、今は西陣の刺繍糸屋にお願いして作ってもらったものを京鹿の子絞振興協同組合が一括購入し、職人のニーズに応えているのだそうです。
さて絞り方ですが、まず青花の粒をひとつつまみ出し4つ折りにします。括り糸を広げて巻き上げ、更に粒の下部も巻いて強く括ります。この時にパチンパチンという音がします。これは糸を締める時、糸が指ぬきに当たって出る音です。左の手は粒を持った時点で絶対に動かしません。これを動かしてしまうと粒の足が乱れてしまうのだそうです。
絞括作業(動画)
粒の大きさが揃っていないと次の段に括る粒がうまく括れなくなります。粒のつまみ方、糸の括り方が異なることも粒の頭の方向が変わってしまうので、仕上がりに影響が出てしまいます。ですので、絞括の作業は一旦始めると最後まで同じ人が行わなくてはなりません。総絞りのきものだと粒の数は約15万粒。一人ですべて絞るには1年以上かかるそうです。
粒が同じ方向を向いていることが重要 |
粒の向きが揃うと綺麗なバイヤス状に。 |
左右の指の動きだけで作られていく京鹿の子絞。唯一使う道具は指を保護するための自作の指ぬきだけです。ひとつひとつの指が役割を持って動き、非常に細かい作業でありながら、スピーディーに粒が作られていきます。なんと1時間で180〜200粒出来上がるというから驚きです。
川本さんは8歳から絞括を始められ「最初は少しの粒を括らせてもらった。出来上がりを持って行くと「上手に括れたな」と言って今度はちょっと多い粒の仕事をくれた。整理屋のおっちゃんが私らを育ててくれた」と仰っておられました。娘さんも絞括師の道を歩まれ、技術がきちんと継承されていることを知りました。
指ぬきは唯一の道具。 |
この日の工程は、
→人差し指と親指の爪で粒の部分をつまむ。 |