インターネットミニ染織講座
衣装復元制作・室町時代9号(染め分け)
5.染め分け
染め分けは、染めない箇所をビニールで巻いて防染していく作業です。現代では防染にビニールが使われていますが、古くは海藻の昆布が使われ、その後竹の皮へと移り変わってきました。今回は筒状のビニールを使った「タコ帽子」と呼ばれる方法で防染していきます。この工程を行って下さるのは糸入れに続き伝統工芸士の山岸和幸さんです。
まず筒状ビニールの穴打ちから始めます。あらかじめ染める生地部分の位置をメモし、穴の大きさを測っておきます。位置を確認しながらポンチを木槌で叩いてビニールに穴を開け、穴の大小によりポンチのサイズを変えていきます。
ポンチでビニールに穴を開ける | 穴の大小によりポンチのサイズを変える |
穴を開けた箇所 | 染める箇所により穴の数と位置を定める |
ビニールの準備ができました。ではこのビニールを使って防染をしていきます。
染める箇所(中央) | 染色の境界部分に防染糊を塗る |
ビニールの筒に生地を入れ | 染める箇所を穴から出す |
同じ要領で複数箇所出していく | 強く括れるよう湿った麻糸を使う |
糸で生地とビニールの境を括る | 染料が入り込まないよう強く括る |
ビニールの口も括る | 出来上がり |
動画で見てみましょう。
ビニールから染める箇所を出していくこの技法は、染めない箇所をビニールで巻く本来の技法と逆の方法であることから、「逆帽子絞り」(さかぼうししぼり)といいます。しかし染める箇所が何か所も足のように出ているさまがタコのようであることから、通称「タコ帽子」と呼ばれ、こちらの名称のほうがよく使われているようです。タコ帽子は、染めない箇所(白場)の中に染める箇所が点在している場合に用いられ、ビニールから染める箇所を穴から出し、糸できつく括って染料の侵入を防ぎます。染めない箇所はビニールにすべて入れ、口を糸で括ります。今回の生地は薄い平織りの練緯地であることから、ビニールから生地を出す時や糸を括る時に生地が破れないよう、緊張して作業を進めたと仰っておられました。
ポンチに紙芯。多彩な道具類 |
この日の工程は
→ポンチでビニールに穴をあける |
次は染色の作業です。