インターネットミニ染織講座
衣装復元制作・鎌倉時代1号(括り)
7.括り
括りの工程です。旧衣装の特徴である、全体にわたる襷文様と海松文様を染める準備として、糸入れ工程で縫い入れた糸を絞っていきます。
今回、作業をしてくださるのは、糸入れに引き続き伝統工芸士の山岸和幸さんです。
糸入れの際に、生地を縫い入れた糸を使って、生地を絞っていきます。生地を絞る際には、括り台と呼ばれている道具を使って、糸を固定させてから生地を引いて絞ります。
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括り台 |
糸入れの糸の端を括り台の金属部分に掛け、固定します。
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糸をかけ、引き絞る@ | 糸をかけ、引き絞るA |
生地を引き絞ります。このとき折り縫締の箇所を絞る際は、他の箇所の生地を巻き込んだ状態で絞らないように注意を払い、裏側の生地を伸ばすように、下に引っ張りながら作業を行います。
実際に見てみましょう。
括り台にかけて固定していた糸を外して生地に近いところで結びます。
山岸さんは、結び目の上にもう一つ結び目を作った後、それらを巻き込むように結び目を作る、計3回結ぶ方法で大きな結び目を作られました。この方法をとることで、後に他の箇所の生地を引っ張った際に、結び目が生地を貫通して糸入れの穴以上の大きな穴が開く事故を防ぐことができます。今回の衣装の生地がとても薄いこともあり、結び目が貫通して生地が傷むことがないようとても気を配って作業をしておられました。
糸入れを行った箇所を全て絞り、括ることができたら完了です。
糸を引き絞り、括ることを繰り返す工程ですが、生地の巻き込みや糸の引き加減等に気を配ることがとても多く、併せて絞りを行った生地ではどこまで作業が進んだのか、どこが括れていないのか等が作業が進むにつれて分かりづらくなるため、繰り返しの確認を行いながら進めておられました。作業場には飴やグミといった甘いお菓子が多くあり、曰く「休憩の時によく食べている」のだそうです。膨大な作業量をこなす体力の他、高い集中力が必要になるこの作業には糖分補給が欠かせません。気が遠くなりそうになる作業を集中してこなされている山岸さんのお姿に頭が下がります。 この日の工程は、
→糸入れの糸を括り台にかけ固定する 次は本染めの工程です。
絞って括る@
絞って括るA
完成
裏から見るとわかりやすい
絞り終わった生地の様子
→絞りの範囲の大きいところから、手で生地を引き絞る
→折り縫締の箇所は生地の裏を伸ばすように下に引きつつ、生地を絞る
→糸を生地に近いところで1回結び、結び目の少し上にもう1つ結び目を作る
→2つの結び目を巻き込むようにして1回結び、大きな結び目を作る
→余りの糸を切る
→完成
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