<スタッフ紹介>

        北川学芸員とその助手

    

 

  

 

 

時代衣装の構成と使われた技術についてわかりやすくご説明します。素人撮影のため見辛い箇所があるかもしれませんが、なにとぞご容赦ください。

ご質問・ご要望はまで。

 

 

インターネットミニ染織講座

衣装復元制作・室町時代12号(染色)

 

5.染色

染め分けの防染作業を終え、染色の作業です。染色の作業をして下さるのは伝統工芸士の和田染工場 太田英雄さんです。室町12号は緑、黄、紫の3色が使われていますが、まずは緑の染色をしていきます。

 

 

防染の作業を終えた生地。奥の釜で染めていく。

 

辻が花衣装の色見本。真ん中の緑色に合わせて染める。

 

染料を調合し染料液を作る。

 

熱湯の入った釜に染料を調合した染料液を入れていきます。染料は長年の勘による目分量。データを取って染料を配合するやり方もありますが、誂えのきものは要望に合わせるため、このような方法で細かく色を調整していきます。

色合わせの作業(動画)

 

 

 

生地を入れ、染料と生地をなじませます。釜の中の温度は80〜100度。熱さを少しでも軽減できるよう、水を入れたゴム手袋をはめて混ぜていきます。

生地を染める作業(動画)

 

 

染まったら取り出し、色見本で色を確認します。この時、生地は水分をしっかりと絞り、時には熱湯のパイプに押し当てて、乾燥した状態で色を確認していきます。色見本と合わなければ再び釜に色を足し、生地をかき混ぜて染める動作を繰り返します。万一色見本より濃くなった場合はお湯でもどしてから再度色を足していくそうです。この作業を繰り返して大体3〜4回で見本色に合わせられるそうですが、この日も3回目で色が合致しました。一見、簡単な作業のように見えますが、目分量の調合で見本色とぴったり合わせられるのは長年の経験と勘、そして色を瞬時に分析できる能力が兼ね揃ってこそできる技です。

 

染め上がった生地。ビニールは防染箇所。

 

乾いた状態で色を見るので、しっかりと絞る。

 

        3回目の調整で色見本と合致

 

緑に染め上がりました。水洗の工程では生地に付いた浸透剤などの薬液を真水で4回洗い流していきます。

 

 たっぷりの真水を張った水槽に生地を入れ、洗ったら次の槽に移動。


        じゃぶじゃぶと洗って余計な薬剤を落としていく。



次に業務用脱水機に生地を入れ、1分ほどまわして水分を飛ばし、陰干しします。



                  脱水機で1分

          だいたいひと晩で乾く。



作業は色の多さにより繰り返す回数も増えていきます。この衣装は3色(緑、黄、紫)に染め分けられているので、防染の作業を含めてあと2回作業を繰り返します。現在防染している箇所は全て解かれて、次の色に染めるためにまた別の箇所を防染し、その後再び染色が行われます。染色の作業は一発勝負で、やり直しがききません。色を合わせる高度な技と、100度近い湯釜に手を入れる忍耐力、失敗できないというプレッシャー。染色職人のご苦労は計り知れないものがありますが、きものを最も印象付ける「色」を担う重要な役割を背負い、ひとつひとつの工程を正確かつ丁寧に行っておられる姿が印象的でした。




この日の工程は、

→色見本をもとに染料を配合し、染料液を作って湯釜に入れる。
→生地を入れて混ぜながら色をなじませる。
→染まった生地の一部を乾かし、色見本で色を確認する。
→色見本と生地の色が合うまで染料液を追加して生地に色をなじませる。
→色見本と生地の色が合致したら染色終了。
→生地を水で洗い、薬剤を取り除く。
→生地を脱水し、ひと晩陰干しする。

 



次はかちん描きの作業です。



 

 
 
 
 
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